第3部 環境の現況と取組の状況

第4章 地域環境への負荷の低減

 ■第2節 水・土壌環境の保全

第9 地盤沈下対策
 
1 大阪平野

 現在までに、尼崎市及び西宮市南部の約100㎢の地域で沈下が認められている。なお、尼崎市の臨海部には約16㎢のゼロメートル地帯がある。
 過去における沈下量は、昭和30年代が著しく、昭和36年にJR(当時国鉄)尼崎駅付近で年間約20cmという沈下量が認められた。しかし、「工業用水法」による工業団地地下水のくみ上げ規制が進み、昭和40年以降は急激に沈下量が減少した。最近では年間最大沈下量は1cm前後となり、海岸付近以外の地域ではほとんど沈下はみられなかったが、平成7年度は阪神地域において地震による影響と思われる沈下が一部でみられた。
 地下水位は、尼崎市、西宮市の南部では近年、ほぼ横ばい状態である。
 なお、主要水準点の沈下量の経年変化は第3-4-30表、主要観測井戸の地下水位の経年変化は第3-4-31表のとおりである。

第3-4-30表 主要水準点における沈下量の経年変化(大阪平野)
                         (単位:㎝、△は隆起)

主要水準点における沈下量の経年変化(大阪平野)



第3-4-31表 主要観測井戸における地下水位の経年変化(大阪平野)
                                (単位:m)
                主要観測井戸における地下水位の経年変化(大阪平野)

2 大阪平野対策

(1) 監視測定
 水準測量は国土地理院が幹線(23点)を受け持ち、残りを県(18㎞19点)、尼崎市(100㎞121点<平成14年度は欠測>)及び西宮市(70㎞97点<平成15年度は欠測>)が分担して実施している。
 また、兵庫県と尼崎市で6カ所、5井の観測井戸を設置し、地下水位と地盤沈下量の観測を実施している。

(2) 地下水の採取規制
 ア 同法律による地下水採取規制
 昭和35年に尼崎市全域が、昭和37年に西宮市の阪急電鉄神戸線以南の地域が、昭和38年に伊丹市全域が、「工業用水法」に基づく指定地域となっており、指定時に許可基準に適合しなかった既設井戸に対する水源転換は、昭和43年度に終了している。
 イ 条例による地下水採取規制
 尼崎市においては、昭和48年11月より「尼崎市民の環境を守る条例」の中で、「建築物用地下水の採取に関する規制」を定め、「ビル用水法」の対象となる地下水採取について、採取の届出、採取量の制限ができることとされている。
 ウ 委員会における自主規制
 伊丹市においては、昭和43年に地下水利用対策委員会(現伊丹市工業用水協議会)を設置し、昭和44年5月より、市内の総揚水量を40,000 m3/日として、1工場あたりの揚水量を決定し、自主規制している。

(3) 用水道整備事業
 ア 工業用水道整備事業
 「工業用水法」の指定地域となったことに伴い、尼崎市、西宮市、伊丹市において工業用水道の整備が実施され、給水を行っている。
 イ 上水道整備事業
 西宮市、伊丹市においては、一部で水源を地下水に依存している。水道需要の増加に対応するため、上水道の拡張事業が行われてきた。
 また、県と阪神水道企業団が、水道用水供給事業を実施している。

3 播磨平野
 昭和45年の水準測量で一、二の水準点に事故とみられる変動があったものの、地盤沈下は特に認められない。
 地下水位は、昭和40年以降低下の傾向がみられたが、最近は回復しつつある。 主要観測井戸の地下水位の経年変化は第3-4-32表のとおりである。


第3-4-32表 主要観測井戸における地下水位の経年変化(播磨平野)
                 主要観測井戸における地下水位の経年変化(播磨平野)

4 播磨平野対策

(1) 監視測定
 県では、11井の観測井戸を設置し、地下水位の観測を実施している。

(2) 地下水の採取規制
 ア 条例による地下水採取規制
 三木市においては、「三木市環境保全条例」の中で、動力を用いる施設で揚水管の口径50㎜以上の揚水井戸について、地下水の採取規制を行っているほか、赤穂市においても、「赤穂市生活環境の保全に関する条例」の中で、工場などにおける地下水採取を対象に水量測定器の設置と揚水量の記録及び水質測定を義務づけている。また、明石市においても、「明石市の環境の保全及び創造に関する基本条例」により、地下水の採取規制を行っている。
 イ 協議会による自主規制
 昭和43年4月、東播磨地区の5市2町(明石市、稲美町、播磨町の全域と神戸市、加古川市、高砂市、三木市の一部地域)の地下水利用者、国、県、市、町及び商工関係者により、東播地域地下水利用対策協議会を組織し、揚水井戸の新設を承認制として自主規制を行っている。

(3) 用水道整備事業
 ア 工業用水道整備事業
 東播磨地区(明石市・加古川市・高砂市・播磨町)において、県営加古川工業用水道と高砂市営工業用水道が整備され、給水を行っている。
 また、西播磨地区(姫路市、太子町)において、県営揖保川第1、揖保川第2、市川工業用水道が整備され、給水を行っている。

 イ 上水道整備事業
 上水道の地下水依存率が高い地域がある。各市町において、水道需要の増加に対応するため、上水道の拡張事業が行われてきた。
 また、県が水道用水供給事業を実施している。

5 その他の地域

(1) 淡路島南部(洲本市~三原町)
 国土地理院が過去に実施した一等水準測定量により、わずかな沈下が認められたが、特に問題となるものではない。

(2) 豊岡盆地
 消雪用の地下水くみ上げに起因すると考えられる沈下が年間1㎝前後観測されている(第3-4-33表)。


第3-4-33表 水準点における沈下量の経年変化(豊岡盆地)
               
 (単位:cm)
水準点における沈下量の経年変化


(3) 豊岡盆地対策
 豊岡市が、毎年19㎞17点について、水準測量を実施している。
 また、近畿地方整備局、豊岡市等で7力所、10井の観測井戸を設置し、地下水位と地盤沈下量の観測を実施している。